MUSICAL WORKS

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ITO Miyuki / 伊藤 美由紀

2009

Ajuga for soprano and flute with live electronics




Birth C: JAPAN Gender: Female




Performer(s): Camilla Hoitenga (fl) Eiko Morikawa (S)

First perf.: at Nagoya City Chikusa Playhouse, Nagoya, Japan. May 6 2009.

Duration: 10:00

Perf. Country: JAPAN

Prog. notes: http://www.miyuki-ito.com/Miyuki_Ito/Projects/entori/2010/6/4_Ajuga_for_flute,_soprano_with_live_electronics_%282009%29.html

「アジュガ」フルートとソプラノとライブエレクトロニクスの為の

「アジュガ」とは、別名「西洋十二単」とよばれる紫色の春の花である。ギリシャ語の a=無、jugos=束縛から名付けられている。ちょうど庭に咲いていた、衣装の十二単のように小さな花の層からできている「西洋十二単」という地味ではあるが存在感のある花と、名前の由来にインスピレーションを受けた。今までのやり方に束縛されない考え方、ソプラノとフルートの2つの音色がいくつかのレイヤーを織りなしていくという2点を念頭に置いている。ソプラノに歌詞はなく、音素、擬音語を中心に構成され、フルートの複雑な音色、そしてMax/msp(ソフトウェア)でリアルタイムにプロセスされるライブエレクトロニクスにより、微妙な音色と空間を繰り広げていく。また、今回の作品において、ライブ映像を楜沢順さんと慶応義塾大学、早稲田大学、電気通信大学の研究チームが、カオス理論をもとに挑戦的なコラボレーションを行ってくれる。
              
 
[Music+Painting+Chaos]
私たちのプロジェクトでは、「音楽によって絵を描く」というコンセプトのもと、「カオス」という数理現象を用いて、新たな表現に挑戦しています。伊藤美由紀さんの作曲した音楽と、楜沢順さんの描かれた抽象画、それと私が作っているカオスを、電気通信大学の成見哲先生、栃折さんを中心とした早稲田大学大谷研究室のプログラマの方々に作って頂いて、今回の作品を発表させていただきます。
 カオスというのは、自然や生命の中に見られる非常に複雑な数学的な現象です。このカオス現象からコンピュータを利用して、様々なパターンを生み出しています。カオスは10,000分の1というごく小さな値の差でも、まったく違う振る舞いを起こすため、変数の値によって無限の形を生成させることが可能です。カオスのこのような特徴を利用して、私たちは音楽の奏でる様々なパラメータをデジタル信号に変換し、カオスを制御する変数として扱っています。
 このカオスと音楽を融合させ、音楽の持つ、音量、音域、リズム、など様々な要素を数式に入れ込むことによって、自由に新たなカオスのパターンを生み出しています。音楽をリアルタイムでデジタル化し、その場でカオスのパターンを生成するため、演奏者はもちろん、製作者である私たちもどんな映像が作られるか本番まで分かりません。ここで流される映像はその場で描かれるものであり、一回限りで、二度と同じものはできないはずです。
 音の高さ、音量、震え、など、普段は耳でしか感じられないものを、目で見て感じてみてください。「音を見る」という日常ではなかなかできない体験の中から、異世界を感じてもらうことができたら幸いです。(下西風澄、井庭崇)
(プログラムノートより)

Editor: Tamamo Nagai

Phono: http://www.miyuki-ito.com/Miyuki_Ito/Video/entori/2011/10/27_Ajuga_%282009%29_for_flute_and_soprano_with_live_electronics_%28video%29.html